「年収の高い人ほど本を読んでいる」「成功者はみんな読書家」という話を聞いて、読書と年収には本当に関係があるのか、本を読めば収入は上がるのか、それとも嘘なのか気になっていませんか?
この記事では、読書量と年収の関係を示す調査や研究を紹介しながら、相関と因果の違い、成功者が本を読む理由、仕事に活かせる読書のしかたを解説します。
読み終えるころには、読書と年収の話を正しく受け止められるようになり、自分のキャリアに役立つ本の読み方を選べるようになります。
読書と年収の関係|「読む人ほど年収が高い」相関はあるが、読めば上がるとは言えない

年収の高い人ほど本をよく読んでいるという調査結果はありますが、これは相関関係で、本を読めば年収が上がるという因果関係を示したものではありません。
読書量と年収の関係は、日本でも海外でも調べられています。
その多くで、収入の多い人ほど読書量が多い傾向が見られます。
ただ、収入に余裕がある人は本を買いやすく、仕事で本を読む機会も多いなど、「年収が高いから本を読む」という逆向きの関係も考えられます。
読書と年収の話は、「関係はあるが、読書だけが原因ではない」と受け止めるのが正確です。

読書量と年収のデータ|日本の調査と海外の研究

読書量と年収の関係を示すデータを見ていきます。
世帯年収が高いほど月3冊以上読む人が多い(2009年)
マイナビキャリアリサーチLabのコラムで紹介されている、出版文化産業振興財団の2009年「現代人の読書実態調査」では、1か月に3冊以上本を読む人の割合は、世帯年収1,500万円以上で40.5%、300万〜500万円未満で22.6%でした。
1冊も読まない人の割合は、世帯年収1,500万円以上で9.5%、300万〜500万円未満で28.2%と、年収が低い層ほど多くなっていました。
2021年の調査でも同じ傾向
同じコラムでは、マイナビが2021年に行った調査でも、年収が高い人ほど読書量が多い傾向が見られたと紹介されています。
一方で、全体で1冊も読まない人の割合は40.1%と、2009年の23.7%から大きく増えていました。
コラムでは、読書が収入アップに直接作用するというものではなく、収入に余裕があるから書籍に費用をかけられるという面もあるだろう、と注意書きがされています。
子どものころの本の多さと生涯の収入(ヨーロッパの研究)
イタリアの経済学者ブルネッロらが2017年に経済学の専門誌「The Economic Journal」に発表した研究「Books are Forever」では、ヨーロッパの約6,000人の男性(1920〜1956年生まれ)のデータを分析しました。
その結果、10歳のときに家に本が多かった人は、教育を1年長く受けたことによる生涯の収入の伸びが大きく、本が本棚1段分に満たない家庭で育った人の伸び(約5%)に比べて、本が多い家庭の人では約21%だったと報告されています。
この研究は、本そのものの効果というより、本の多い家庭環境が教育の効果を高めていた可能性を示したものです。
読書と年収は関係ない?「嘘」と言われる理由

「読書量と年収の関係は嘘」という声もあります。
その理由を整理すると、データの読み方の問題が見えてきます。
相関関係と因果関係は違う
相関関係は、「一方が多いと、もう一方も多い」という関係のことです。
因果関係は、「一方が原因で、もう一方が起こる」という関係のことです。
読書量と年収のデータが示しているのは相関関係で、どちらが原因なのかまでは分かりません。
ほかの要因が隠れている
学歴や職種、家庭環境、自由に使える時間やお金など、読書量と年収の両方に影響する要因はたくさんあります。
たとえば、仕事で専門書を読む必要がある職種は、もともと収入が高い傾向にあるかもしれません。
「年収の高い人は本を読む」から「本を読めば年収が上がる」と考えるのは、データの読み方として飛躍があります。
読書と学力の関係でも同じような注意が必要です。
くわしくは読書と勉強・学力の関係|データで見る効果と読書は勉強に入るかで紹介しています。

あわせて読みたい:読書療法とは?うつ・ストレスへの効果と論文|読書セラピーのやり方
成功者が読書をするのはなぜ?

それでも、仕事で成果を上げている人の多くが読書を大切にしているのは事実です。
ビル・ゲイツは年に約50冊
マイクロソフトの共同創業者ビル・ゲイツは、2016年のニューヨーク・タイムズのインタビューで、年に約50冊の本を読んでいると話しています。
読書は新しいことを学び、自分の理解を確かめる主な方法だという趣旨の発言をしていて、自身のブログでも毎年おすすめの本を紹介しています。
成功者が本を読む3つの理由
成功者が読書を続ける理由として、よく挙げられるのは次のようなものです。
- 一冊で、著者が長い時間をかけて得た知識や経験をまとめて学べる
- 自分の業界の外の考え方に触れて、新しい発想のヒントが得られる
- 考えを言葉にする力がつき、人に説明したり説得したりしやすくなる
ただし、成功者が読書をしていることは、読書が成功の原因だという証明にはなりません。
本を読んだから成功したのか、成功するような人が本を読む習慣を持っていたのかは、分けて考える必要があります。
読書を仕事と収入に活かす読み方

読書だけで年収が上がるわけではありませんが、読み方しだいで仕事に活かすことはできます。
今の仕事の課題から本を選ぶ
「会議をうまく進めたい」「数字の資料を読めるようになりたい」など、今の課題をはっきりさせてから本を選ぶと、読んだことをすぐに試せます。
読んだら一つ試して、結果を振り返る
本で知った方法を一つだけ仕事で試し、うまくいったかを振り返ります。
読書を行動に変えることで、はじめて仕事の成果につながる可能性が生まれます。
専門外の本も読む
自分の仕事と関係のない分野の本を読むと、ほかの人が思いつかない発想のきっかけになることがあります。
歴史や科学、小説など、興味のある分野から広げてみてください。
社会人の読書については読書の効果は大人になってからでもある?社会人が本を読む意味でもくわしく紹介しています。

よくある質問

読書量と年収は比例する?
年収の高い人ほど読書量が多い傾向は、いくつかの調査で見られます。
ただし、読書量を増やせば年収も比例して上がる、という関係が確かめられたわけではありません。
読書で年収が上がったという話は本当?
本で学んだことを仕事に活かして収入が増えた、という個人の体験談はあります。
ただ、それは読書に加えて本人の行動や環境が重なった結果なので、誰にでも同じことが起こるとは限りません。
読書量と年収の関係は嘘?
関係があること自体は嘘ではなく、調査で相関が見られます。
「読めば年収が上がる」と因果関係のように言うのが言いすぎ、というのが正確なところです。
年収を上げたい人はどんな本を読めばいい?
決まった正解はありませんが、今の仕事の課題に関係する本から読むと、学んだことを試しやすくなります。
あわせて、専門外の本を少しずつ読むと、考え方の幅が広がります。
成功者はなぜ本を読むの?
一冊で他人の知識や経験をまとめて学べ、自分の業界の外の考え方にも触れられるからだと言われます。
ビル・ゲイツのように、読書を学びの中心にしていると話す経営者もいます。
読書をしない人は年収が低い?
調査では読書量の少ない層ほど年収が低い傾向がありますが、個人に当てはめて決めつけることはできません。
読書をしなくても、仕事の経験や人との関わりから学んで成果を上げている人はたくさんいます。
まとめ:読書は年収を上げる魔法ではなく、学びの道具

読書と年収の関係を振り返ります。
| 知りたいこと | 答え |
|---|---|
| 読書量と年収に関係はある? | 年収の高い人ほど読書量が多い傾向(相関)はある |
| 読めば年収は上がる? | 因果関係は確かめられていない |
| データの例 | 2009年の調査で月3冊以上読む人は世帯年収1,500万円以上で40.5%、300万〜500万円未満で22.6% |
| 「嘘」と言われる理由 | 相関を因果のように言うこと、ほかの要因が隠れていること |
| 仕事に活かすには | 課題から本を選び、読んだら一つ試して振り返る |
読書は、それだけで年収を上げてくれる魔法ではありません。
読んだことを行動に移す道具として、自分の仕事に合った本から読んでみてください。
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