中学生の読書感想文、書き方の説明を読んでもいまひとつイメージがわかず、実際の例文を見て「5枚の感想文はこういう流れなのか」と確かめてから書きたい、と思っていませんか?
この記事では、中学生の読書感想文の例文を、太宰治の『走れメロス』を題材にしたオリジナルの見本で紹介します。
原稿用紙5枚の構成、1枚ごとに何を書いているか、書き出しのバリエーション、例文を自分の感想文に生かす方法まで解説します。
読み終えるころには、例文の「型」を使って、自分が選んだ本で自分の言葉の感想文を組み立てられるようになります。
読書感想文の中学生の例文は「5枚の役割」を見るために使う

中学生の読書感想文の例文は、文章をまねするためではなく、「きっかけ・あらすじ・心に残った場面・自分の体験や考え・変化とまとめ」を5枚にどう配分しているかという型をつかむために使います。
例文をそのまま写したり、言葉を少し変えて使ったりするのは、自分の感想文とは言えません。
コンクールの入賞作やネット上の感想文を写すことも、ほかの人の文章を自分のものとして出すことになります。
この記事の例文は、著作権の切れた太宰治『走れメロス』を題材に、この記事のために書いたオリジナルの見本です。
全国学校図書館協議会と毎日新聞社が主催する青少年読書感想文全国コンクールの中学校の部は2,000字以内なので、例文も5枚(約2,000字)を想定した構成にしています。

中学生の読書感想文の書き方|例文で使う5枚の構成

例文は、次の5つのまとまりで組み立てています。
| 原稿用紙 | 役割 | 例文での内容 |
|---|---|---|
| 1枚目 | きっかけ・問い | 「約束を守る」ことへの自分の思い込み |
| 2枚目 | あらすじ | メロスが友を人質にして走る流れ(短く) |
| 3枚目 | 心に残った場面 | メロスが一度あきらめかける場面 |
| 4枚目 | 自分の体験 | 部活の約束を破りかけた経験 |
| 5枚目 | 変化とまとめ | 「信じる」ことの意味の変化 |
それでは、1枚ずつ例文を見ていきます。
中学生の読書感想文の例文|『走れメロス』を読んで(5枚)

題名:「弱さを知っている人の約束」
1枚目:書き出し(きっかけと問い)
「約束を守れる人は、心が強い人だ。
わたしはずっとそう思っていた。
だから、友だちとの約束を忘れたり、遅刻したりする人を見ると、心のどこかで『弱い人だな』と感じていた。
『走れメロス』は、国語の先生が『友情の物語だよ』と話していた本で、約束を守り抜く強い主人公の話だと思って読み始めた。
ところが、読み終えたとき、わたしの中に残ったのは、メロスの強さではなく、メロスの弱さのほうだった。
」
ポイント:自分の思い込みを最初に書き、「読み終えたら違った」と示すことで、この感想文で考えたいことを予告しています。
2枚目:あらすじ(必要なところだけ)
「メロスは村の牧人で、妹の結婚式の準備のために町へ出かける。
そこで、人を信じられずに次々と人を殺している王の話を聞き、激怒して城に乗りこむが、捕らえられて死刑を言いわたされる。
メロスは妹の結婚式を挙げるために三日間の猶予を願い、親友のセリヌンティウスを人質として城に残す。
三日目の日没までに戻らなければ、友が代わりに殺されるのだ。
」
ポイント:結末まで書かず、このあと取り上げる場面を理解するのに必要なところで止めています。
3枚目:心に残った場面とその理由
「わたしがいちばん心に残ったのは、川の氾濫や山賊をなんとか切り抜けたメロスが、疲れ果てて倒れこみ、もう走らなくてもいいではないかと考えてしまう場面だ。
あれほど王に向かって人を信じることの大切さを語ったメロスが、ここでは友を裏切りかけている。
最初に読んだとき、わたしは『メロスもずるい』と思った。
けれど、何度か読み返すうちに、この場面があるからこそ、メロスがもう一度立ち上がって走り出す場面が胸にせまるのだと気づいた。
メロスは最初から強かったのではない。
自分の弱さに負けそうになったあとで、それでも走ることを選んだのだ。
」
ポイント:場面を一つにしぼり、「最初はこう思った→読み返して気づいた」と、考えの動きを書いています。
4枚目:自分の体験と結びつける
「わたしにも似た経験がある。
中学一年の夏、バレー部の先輩と、朝の自主練習に毎日一緒に来ると約束した。
最初の一週間は守れたが、ある朝、目覚まし時計を止めてしまい、『今日くらい行かなくても先輩は気にしないだろう』と布団の中で考えた。
あのときのわたしは、倒れこんだメロスと同じだった。
結局、その日は遅れて体育館に行った。
先輩は何も言わずにボールを渡してくれた。
そのとき、約束を守るというのは、一度も迷わないことではなく、迷ったあとにもう一度自分で選び直すことなのかもしれないと思った。
」
ポイント:本の場面と自分の体験を「同じだった」とつなげ、体験から考えたことまで書いています。
5枚目:変化とまとめ
「読む前のわたしは、約束を守れる人は心が強い人だと思っていた。
今は少し違う。
人は誰でも弱く、約束を破りたくなる瞬間がある。
大切なのは、その弱さを知ったうえで、もう一度走り出せるかどうかだ。
物語の最後で、メロスとセリヌンティウスは、お互いに一度だけ相手を疑ったことを打ち明け合う。
二人の友情が本物に見えるのは、疑いも弱さも隠さなかったからだと思う。
これからわたしは、約束を守れなかった友だちを『弱い人』と決めつけるのではなく、もう一度走り出そうとしているかどうかを見ていきたい。
そして自分も、迷ったときにはメロスのように、もう一度走り出せる人でありたい。
」
ポイント:1枚目の思い込みに答える形で、読む前と読んだあとの変化を書いて締めくくっています。

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中学生の読書感想文の書き出し例文|5枚を書くときのバリエーション

書き出しは、例文のように「自分の思い込み」から始める以外にも、いくつかの型があります。
心に残った場面から始める
例:「倒れこんだメロスが、もう走らなくてもいいと考えた場面で、わたしはページをめくる手を止めた。
」
問いかけから始める
例:「一度も迷わずに約束を守れる人は、本当にいるのだろうか。
」
本の言葉を短く引用して始める
作品の中の短い一文を引用し、その言葉が気になった理由から書き始める方法もあります。
引用は1〜2文にとどめ、すぐに自分の考えにつなげるのがポイントです。
例文を自分の読書感想文に生かす方法

例文を読んだら、次の手順で自分の感想文に置きかえていきましょう。
ステップ1:自分の本で5枚の表を作る
例文の構成表と同じ形で、自分の本の「きっかけ」「心に残った場面」「自分の体験」「変化」をメモします。
ステップ2:自分の体験を探す
感想文の中でいちばん自分らしさが出るのは、4枚目の体験の部分です。
本の場面と似た経験がないか、部活動、家族、友だちとの出来事から探してみてください。
ステップ3:1枚目と5枚目を対応させる
1枚目で書いた思い込みや問いに、5枚目で答える形にすると、まとまりのある感想文になります。
例文から借りてよいのは構成と書き出しの型だけで、場面の選び方・体験・考えの変化は、必ず自分の本と自分の経験から書きましょう。
『ホームレス中学生』で読書感想文を書くなら
中学生の感想文では、お笑いコンビ・麒麟の田村裕さんが、中学生のときに家族がばらばらになり、公園で暮らした日々を書いた『ホームレス中学生』(ワニブックス、2007年)が選ばれることもあります。
この本で書くなら、例文と同じ5枚の型を使い、心に残った場面を一つ選んで、家族や周りの人の支えについて自分がどう考えたかを中心に書くとまとまります。
ネット上にある感想文の例文を写すのではなく、自分の家族や友だちとの関わりと比べて書くことが大切です。
中学生の書き方の全体の流れは読書感想文の書き方【中学生】|原稿用紙5枚の構成と簡単に書くコツ、本選びは読書感想文のおすすめの本【中学生】|学年別の名作と課題図書で紹介しています。

よくある質問

例文をそのまま使ってもいい?
例文をそのまま、または言葉を少し変えて提出するのはやめましょう。
例文は構成や書き出しの型を知るために使い、中身は自分の本と体験で書いてください。
中学生の読書感想文5枚の例文はどう読めばいい?
1枚ごとに「何の役割の文章か」を確かめながら読むのがおすすめです。
きっかけ・あらすじ・場面・体験・まとめの配分をつかめば、自分の本でも同じ流れで書けます。
あらすじはどこまで書けばいい?
このあとで取り上げる場面を理解するのに必要なところまでで止めましょう。
例文でも、結末までは書かずに、メロスが友を人質にして町を出るところで止めています。
自分の体験が思いつかないときは?
本の場面と「まったく同じ」経験でなくてもかまいません。
気持ちが似ていた出来事、たとえば「迷った」「くやしかった」「助けられた」経験を探すと見つかりやすくなります。
入賞作品を参考にしてもいい?
青少年読書感想文全国コンクールの公式サイトや入賞作品集『考える読書』で、入賞作品を読むことができます。
どんな工夫がされているかを知る参考にはなりますが、文章を写してはいけません。
例文と同じ本で書いてもいい?
同じ『走れメロス』で書いてもかまいませんが、例文とは違う場面や、自分だけの体験を選びましょう。
同じ本でも、読む人によって心に残る場面は違うはずです。
まとめ:例文は「型」を借りて、中身は自分で書く

中学生の読書感想文の例文の使い方を振り返ります。
| 知りたいこと | ポイント |
|---|---|
| 例文の使い方 | 5枚の役割と配分をつかむために読む |
| 5枚の構成 | きっかけ・あらすじ・心に残った場面・自分の体験・変化とまとめ |
| 書き出し | 思い込み・場面・問いかけ・短い引用から始める |
| 自分の感想文に生かす | 5枚の表を作る→体験を探す→1枚目と5枚目を対応させる |
| やってはいけないこと | 例文や入賞作、ネットの感想文を写す |
例文は、自分の感想文の設計図をつくるための見本です。
型を借りたら、あとは自分が心を動かされた場面と、自分だけの体験で書き上げてください。
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