仕事や人間関係で疲れたとき、「読書にはストレス解消やリラックスの効果がある」「6分読むだけでストレスが68%減る」と聞いて、本当に本を読むだけで気持ちが軽くなるのか気になっていませんか?
この記事では、読書のストレス解消効果について研究で分かっていることと、「6分で68%」という数字の出どころ、自律神経やセロトニンとの関係、リラックスしやすい読み方を解説します。
読み終えるころには、読書でのストレス解消に過度な期待をせず、自分に合った方法で本を気分転換に役立てられるようになります。
読書のストレス解消効果はある|ただし「6分で68%」は根拠が弱い

読書でストレスの指標が下がったという研究はあるものの、よく紹介される「6分の読書でストレスが68%減る」という数字は、根拠がはっきりしないので断定できません。
2009年にアメリカの学生を対象に行われた研究では、30分の読書で血圧や心拍数、ストレスの自己評価が下がり、ヨガやユーモア(笑い)と同じくらいの効果だったと報告されています。
一方で、この研究は22人と小規模で、読書のリラックス効果を示す研究の一つとして受け止めるのが妥当です。
好きな本に没頭して悩みから気持ちが離れると気分が切り替わる、と感じる人は多く、手軽なストレス軽減の方法として試す価値はあります。

「6分の読書でストレス68%減」はどこから来た数字?

民間の研究会社が行った調査とされる
「読書 6分」で検索すると必ず出てくるこの数字は、2009年にイギリスの民間の研究会社「マインドラボ・インターナショナル」が行った調査とされています。
引用される出典には「サセックス大学」の名前が添えられることが多いものの、大学の研究チームが学術誌に発表した論文としては確認できません。
読書のほかに、音楽を聴く、散歩をするなどの方法とも比べて、読書がいちばんストレスを下げたと紹介されています。
なぜ根拠が弱いといえるのか
この調査は、学術誌の審査(査読)を受けた論文として確認できず、調べた人数や測定の方法も詳しく公開されていません。
出典としては「Galaxy Stress Research」という調査名が引用されていますが、調査の報告書そのものは見つけられませんでした。
「6分」「68%」という数字は分かりやすいため多くのサイトで引用されていますが、読書の効果の根拠として断定するのはおすすめしません。
読書のリラックス効果と自律神経・セロトニンの関係

血圧や心拍数は自律神経の働きで変わる
血圧や心拍数は、体を緊張させる交感神経と、休ませる副交感神経という自律神経の働きによって変わります。
先ほどの2009年の研究で、30分の読書のあとに血圧や心拍数が下がったことは、体が落ち着いた方向に向かったことを示す手がかりの一つです。
「読書で副交感神経が優位になる」は確かめられていない
ただし、読書そのものが副交感神経を優位にすると、直接確かめた研究は見つけられませんでした。
「読書で自律神経が整う」「精神が安定する」といった表現は、気分が落ち着くという体験を言いかえたものと受け止めるのがよいでしょう。
「読書でセロトニンが増える」という根拠も見つからない
読書でセロトニンなどの脳内物質が増えることを直接確かめた研究は、調べた範囲では見つかりませんでした。
体に関わる効果をうたう情報は、出典の研究名や人数が書かれているかを確かめてから受け止めましょう。

あわせて読みたい:読書の効果|研究で分かっている読書の良さと根拠が弱い話
読書でストレスを軽減しやすい読み方

読書をストレス解消に役立てるには、読む本と読み方を少し工夫するのがおすすめです。
好きなジャンルの本を選ぶ
気分転換が目的なら、勉強のための本より、純粋に楽しめる小説やエッセイ、趣味の本を選びましょう。
続きが気になるミステリーや、読み慣れた好きな作家の本は、物語の世界に入り込みやすいジャンルです。
スマホの通知を切って読む
読書中に通知が鳴ると、仕事や人間関係のことを思い出してしまい、気持ちが切り替わりません。
読む時間だけでも通知を切る、紙の本を選ぶなど、ほかの情報から離れられる環境を作ると没頭しやすくなります。
時間を決めて短く読む
「寝る前の20分」「昼休みの10分」のように時間を決めておくと、読みすぎて睡眠時間を削ることを防げます。
先ほどの研究でも、30分ほどの読書でストレスの指標が下がっていました。
リラックスできる場所で読む
明るすぎない照明の部屋や、お気に入りのカフェ、公園のベンチなど、自分が落ち着ける場所で読むと、読書の時間そのものが気分転換になります。

読書でストレス解消できないときの原因と対処法

本を読んでも、かえって疲れてしまうことがあります。
くわしくは読書でストレス解消できるのはなぜ?研究の根拠と「嘘」と言われる理由で解説しています。
「読まなければ」という義務感がある
冊数の目標や「最後まで読まなければ」という気持ちが強いと、読書がストレスの原因になってしまいます。
気分転換のための読書は、途中でやめてもよいと決めておきましょう。
内容が重すぎる・難しすぎる
疲れているときに難しい専門書や重いテーマの本を読むと、頭がさらに疲れてしまうことがあります。
そんなときは、短いエッセイや絵本、写真の多い本など、軽く読めるものに切りかえましょう。
目が疲れている
一日中パソコンやスマホを見たあとは、目が疲れて文字を追うのがつらいこともあります。
目が疲れているときは、オーディオブックで本を「聞く」方法も気分転換になります。
眠れない、気分の落ち込みが続くといった状態が長引くときは、読書で何とかしようとせず、医療機関など専門家に相談してください。
よくある質問

読書は本当にストレス解消になる?
30分の読書で血圧や心拍数、ストレスの自己評価が下がったという小規模な研究があります。
効果の大きさは人によって違うので、気分転換の方法の一つとして試してみるのがおすすめです。
読書のリラックス効果は何分で出る?
何分で効果が出るという確かな基準はありません。
「6分」という数字は根拠が弱いので、まずは10〜30分ほど、無理のない時間で試してみましょう。
ストレス解消にはどんな本がいい?
自分が楽しめる本がいちばんです。
好きな作家の小説やエッセイ、趣味の本など、読んでいて気持ちが軽くなるものを選びましょう。
電子書籍でもリラックス効果はある?
電子書籍でも本の世界に没頭できれば、気分転換の効果は期待できます。
スマホで読む場合は、通知で集中が途切れないよう設定を見直しておきましょう。
寝る前の読書はストレス解消に向いている?
寝る前の読書を楽しみにしている人は多く、一日の気持ちを切り替える時間になります。
ただし、続きが気になって夜ふかししないよう、読む時間や章の区切りを決めておくのがおすすめです。
読書で精神が安定するって本当?
本に没頭して気持ちが落ち着くと感じる人は多いものの、読書で精神が安定すると医学的に証明されているわけではありません。
読書は気分転換の手段の一つと考え、つらい状態が続くときは専門家に相談しましょう。
まとめ:読書は手軽な気分転換、数字にとらわれずに楽しむ

読書のストレス解消効果を振り返ります。
| 知りたいこと | 分かっていること |
|---|---|
| ストレスは減る? | 30分の読書で血圧・心拍数・自己評価が下がった研究あり(22人) |
| 6分で68%減は? | 民間の研究会社の調査とされ、査読論文として確認できない |
| 自律神経・セロトニン | 読書で直接変わると確かめた研究は見つからない |
| 読み方のコツ | 好きな本・通知オフ・時間を決める・落ち着く場所 |
読書は、数字で効果を測るより、自分が「気持ちが軽くなった」と感じられるかどうかを大切にしたい気分転換の方法です。
疲れた日こそ、好きな一冊を少しだけ開いてみてください。
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