本を読むと頭がよくなる、ストレスが減る、長生きできるなど、読書の効果やメリットはたくさん聞くけれど、どれが本当でどれが言いすぎなのか、分からなくなっていませんか?
この記事では、読書の効果とメリットを「言葉と学び」「心」「健康」「暮らしと仕事」の4つに分けて、研究や公的なデータで分かっていることと、まだ分かっていないことを整理します。
読み終えるころには、読書で何が変わるのかを自分の言葉で説明できるようになり、自分に合った読み方や本の選び方が見えてきます。
読書の効果とメリットは「言葉・考える力・心・健康」の4つに広がる

読書の効果とメリットは、言葉と知識が増えること、考える力と集中力が育つこと、気分を切り替えられること、年をとっても頭を使い続けられることの4つにまとめられます。
どれも、文字を追いながら頭の中で場面や筋道を組み立てるという、読書ならではの頭の使い方から生まれるものです。
そもそも読書とは何を指すのか、言葉の意味と定義は読書とは?本を読むことの意味と定義|読書体験・読書人の意味もで整理しています。
前頭葉やドーパミンなど、脳との関係でよく聞く話は読書の効果と脳の関係で研究をもとに確かめています。
一方で、研究で分かっているのは「本をよく読む人ほど〇〇が高い」という関係であることが多く、「本を読めば必ず〇〇になる」とまで証明されたものは多くありません。
この記事では、その違いが分かるように、研究の出典と「どこまで言えるか」をセットで紹介します。
| 分野 | 読書の効果・メリット | 根拠の強さ |
|---|---|---|
| 言葉と学び | 語彙・読解力・学力 | 多くの研究で関係あり |
| 心 | 気分転換・リラックス | 小規模な研究が中心 |
| 健康 | 長生き・記憶力の維持 | 長期の追跡研究で関係あり(因果は未証明) |
| 暮らしと仕事 | 知識・視野・話題が広がる | 体験としての声が中心 |

言葉と学び|語彙・読解力・学力への読書の効果

読書の効果のうち、いちばん研究が多く、結果もそろっているのが言葉と学びの分野です。
本をよく読む人ほど語彙と読解力が高い
オランダのモルとブスが2011年に心理学の専門誌に発表した研究では、幼児から大学生までを対象にした99の研究(計7,669人)をまとめて分析しました。
その結果、ふだん本を読む量が多い人ほど、語彙や読解力、つづりの力が高いという関係が、どの年齢でも見られたと報告されています。
読む量と話し言葉の力の関係は、幼稚園児より高校生・大学生のほうが強く出ていて、年齢が上がるほど読書量の差が大きく効いてくることもうかがえます。
研究者は、読むのが得意な子ほどたくさん読み、たくさん読むほどさらに力が伸びる「上向きのらせん」のような関係だと説明しています。
読書が好きな子ほど学力テストの正答率が高い
文部科学省と国立教育政策研究所の令和7年度全国学力・学習状況調査では、「読書は好きですか」に「当てはまる」と答えた小学6年生の国語の平均正答率は73.6%で、「当てはまらない」と答えた子の56.2%を大きく上回りました。
報告書でも、読書が好きな児童生徒ほど各教科の正答率が高い傾向があると書かれています。
ただし、これも「読書をしたから学力が上がった」と証明したものではなく、家庭環境などほかの要因も関わっている可能性があります。
心|読書でストレスは減る?気分転換の効果

好きな本に没頭すると、仕事や悩みからいったん気持ちが離れて、気分が切り替わると感じる人は多いものです。
30分の読書でストレスの指標が下がった研究
アメリカの大学院生22人を対象にした2009年の研究では、30分間のヨガ、ユーモア(笑い)、読書のいずれでも、血圧や心拍数、ストレスの自己評価が下がり、3つの方法の間に差はなかったと報告されています。
人数の少ない研究ですが、読書が手軽な気分転換の方法の一つになりうることを示しています。
うつやストレスに本を使う考え方は「読書療法とは?」で、やり方とあわせて紹介しています。
「6分で68%減」は根拠が弱い
一方、よく紹介される「6分の読書でストレスが68%減る」という数字は、2009年にイギリスの民間の研究会社が行った調査とされるもので、査読を受けた論文としては確認できません。
読書でリラックスできると感じる人は多いものの、「何分で何%減る」という数字をそのまま信じるのはおすすめしません。
この数字の出どころと研究で分かっていることは読書のストレス解消効果で詳しくまとめています。
あわせて読みたい:読書のメリット|本を読む人が得ている7つのことと趣味にする良さ
健康|読書と長生き・記憶力の関係

読書と健康の関係は、長い期間にわたって人を追いかけた研究で調べられています。
本を読む人は死亡リスクが約20%低かった
アメリカのイェール大学の研究チームが2016年に発表した研究では、50歳以上の約3,600人を最長12年間追跡し、本を読む人は読まない人より死亡のリスクが約20%低かったと報告しています。
頭を使う活動を続けた人は記憶力の低下がゆるやかだった
アメリカのラッシュ大学の2013年の研究では、読書や書き物など頭を使う活動を晩年も多く続けていた高齢者は、記憶力の低下がゆるやかだったと報告されています。
2003年に医学誌に発表された研究でも、75歳以上の469人のうち、読書やボードゲーム、楽器演奏、ダンスなどを多くしていた人は、認知症になるリスクが低かったとされています。
認知症との関係と脳トレとしての続け方は「読書は認知症予防になる?」で詳しく解説しています。
いずれも「つながりが見られた」という研究で、読書が病気を防ぐと証明したものではない点には注意が必要です。
研究の中身は読書の効果|研究で分かっている読書の良さと根拠が弱い話でもくわしく紹介しています。

暮らしと仕事|本を読む人が得ているメリット

研究の数字にはなりにくいものの、本を読む人が日々の暮らしで感じているメリットもあります。
知識と視野が広がる
一冊の本は、著者が長い時間をかけて調べ、考えたことを筋道立ててまとめたものです。
自分では経験できない仕事や時代、国の話に触れられるので、ものの見方の引き出しが増えていきます。
人と話すときの話題が増える
読んだ本の話は、職場や家族との会話のきっかけにもなります。
本を読む人がまわりにどんな印象を持たれるかは「読書する女」はルノワールの名画と映画で、名画や映画とあわせて紹介しています。
同じ本を読んだ人と感想を話すと、自分とは違う受け取り方に気づけるのも読書の楽しさです。
本を読む人に多い性格やあるあるは読書好きな人の特徴でまとめています。
子どものころの読書と大人になってからの意欲
国立青少年教育振興機構が2013年に公表した調査では、子どものころに読書活動が多かった大人ほど、未来志向や意欲・関心、社会性などの意識や能力が高い傾向があったと報告されています。
こちらも調査時点での関係を見たもので、読書だけが原因とは言えませんが、読書の習慣が長い目で暮らしとつながっていることを示すデータの一つです。
よく話題になる収入との関係は「読書と年収の関係は本当?」で、相関と因果の違いから解説しています。
読書の効果とメリットを目的別に整理

読書の効果と一口にいっても、知りたいことは人によって違います。
よくある疑問ごとに、分かっていることを短くまとめました。
大人になってからでも効果はある?
語彙や知識、考える力は大人になってからでも読書で伸ばせますし、健康との関係を示す研究の多くは中高年を対象にしています。
読書で頭はよくなる?
語彙や読解力との関係は多くの研究で確かめられていますが、「読めば誰でも頭がよくなる」と言い切れるほど単純ではありません。
語彙力・読解力・想像力との関係は「読書で頭は良くなる?」でデータをもとに詳しく解説しています。
効果がないと感じるのはなぜ?
読書の効果は一冊で劇的に変わるものではなく、少しずつ積み重なるものなので、短い期間では実感しにくいのが自然です。
「読書は意味ない」と言われる理由とその反論は読書は意味ない?時間の無駄と言われる理由と反論でまとめています。
日本人は本を読まなくなっている?
文化庁の令和5年度「国語に関する世論調査」では、1か月に本を1冊も読まない人が62.6%で、過去の調査の4割台後半から大きく増えました。
大人と子どもの現状と原因は「読書離れは本当?」でデータをもとに整理しています。
子どもも、全国学校図書館協議会の第70回学校読書調査(2025年)で、5月の1か月に本を1冊も読まなかった高校生が55.7%にのぼっています。
大学生まで含めた調査ごとの数字は、読書離れのデータ最新版で出典つきでまとめています。
学校読書調査の最新結果と年代別のデータは「学校読書調査とは?」で詳しくまとめています。

よくある質問

読書の効果とメリットでいちばん確かなものは?
研究の数と結果のそろい方で見ると、語彙や読解力との関係がいちばん確かです。
読む量が多い人ほど言葉の力が高いという結果が、年齢を問わず多くの研究で出ています。
読書の効果はどのくらいで出る?
何冊読めば、何日続ければ効果が出るという決まった基準はありません。
1日10分でも毎日本を開くことを続けるほうが、まとめ読みより習慣になりやすいです。
読書を趣味として履歴書や面接で伝えたいときは「読書が趣味と言えるのはどこから?」で例文を紹介しています。
小説と実用書で効果は違う?
実用書は知識や考え方を得るのに向いていて、小説は物語に没頭して気分を切り替えたり、他人の立場を想像したりするのに向いています。
「小説を少し読むだけで共感力が上がる」という研究は、別の研究者が確かめたところ同じ結果が出なかったと報告されているので、目的に合わせて両方を楽しむのがおすすめです。
漫画や電子書籍でも読書の効果はある?
電子書籍でも、内容を理解しながら考えて読むという点は紙の本と同じです。
漫画にも知識や語彙に触れる良さはありますが、文章だけの本とは頭の使い方が違うので、両方を読むとバランスがよくなります。
読書にデメリットはある?
長時間の読書で目が疲れる、姿勢が悪くなる、本代や時間がかかるといった点は気をつけたいところです。
読みながら時々目を休め、無理のない量で続けましょう。
ほかのデメリットと対策は読書のデメリット6つと対策で詳しくまとめています。
子どもに読書をすすめるには?
本を読む時間を家族で決めたり、図書館に一緒に行ったりと、本が身近にある環境をつくるのが近道です。
毎年10月27日から始まる読書週間はいつ?期間と由来・今年の標語|読書月間との違いを、家族で本を選ぶきっかけにするのもおすすめです。
まとめ:読書の効果とメリットは続けることで積み重なる

読書の効果とメリットを振り返ります。
| 知りたいこと | 分かっていること |
|---|---|
| 言葉・学力 | よく読む人ほど語彙・読解力・正答率が高い(多くの研究) |
| ストレス | 30分の読書で指標が下がった小規模研究あり。「6分で68%」は根拠が弱い |
| 健康 | 本を読む人は死亡リスクが約20%低かった(因果は未証明) |
| 記憶力 | 頭を使う活動を続けた人は低下がゆるやか |
| 日本の現状 | 大人の62.6%が月に1冊も読まない(文化庁 令和5年度) |
読書の効果は、一冊で人生が変わるような劇的なものではありません。
興味のある一冊から、毎日少しずつ読み進めることで、言葉や考える力、心の余裕が積み重なっていきます。

